自殺願望に取り憑かれた海外作家10人






死にたいほどの夜 [DVD]
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ケイエスエス (2003-07-25)

海外のブログから。
「魂の漆黒の闇の中では、時刻はいつも午前三時だ」
「いうまでもなく、人生とは崩壊の過程である」
- F・スコット・フィッツジェラルド


苦悩する芸術家のイメージはステレオタイプの典型であるが、創造的な傾向を持つ人たちが精神疾患に苦しむ事例には事欠かないし、その症例は様々である。芸術評論家のロバート・ヒューズによれば、画家のゴッホは「絵が描けない間、絶望的になり幻覚に苦しめられていた」 彼は耳を切り落とし、それを娼婦に送ったことで知られ、拳銃自殺で亡くなった。ベートーベンはふさぎ込みがちで、恐らく双極性障害だった。ウィリアム・ブレイクは仲間たちに頭のイカれた奴と思われていた。

精神疾患がどのように創造性をスパークさせているのかを知ることは、恐らく永遠に憶測の域を出ないであろう。度重なる苦痛によって、その自己破壊的で極端な結末を我々は知っている。以下は、自殺未遂や自殺してしまった10人の著名作家のリストである。


10. ジャック・ロンドン

ジャック・ロンドン
野生の呼び声」や「白い牙」などの骨太な著作をもつジャック・ロンドンは、社会主義的理想を持つ一風変わった激しい男だった。彼の母親は彼を妊娠していたとき、アヘンチンキを過剰摂取して、銃で頭を撃ちぬこうとして自殺を試みた。銃は不発に終わった。ロンドンは牡蠣の密猟者、金鉱夫、革命家として成長した。政治的暗殺を推進し、気分によっては様々な人種の大量殺戮を訴えたりした。彼は双極性障害だと考えれている。またアルコール中毒でもあり、しばしは死の誘惑に駆られた。彼はモルヒネの過剰摂取で自殺したと言われているし、そうではないという説もある。

白い牙 (光文社古典新訳文庫) 白い牙 (光文社古典新訳文庫)
ジャック ロンドン Jack London

野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫) 火を熾す (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン) 荒野へ (集英社文庫) 哲学者とオオカミ―愛・死・幸福についてのレッスン 狼王ロボ シートン動物記 (シートン動物記) (集英社文庫)
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9.カート・ボネガット

恐らく第二次大戦の従軍体験を風刺した「スローターハウス5」で一番知られるカート・ボネガットは、生まれつき精神疾患を持って生まれたという。彼の母は1944年に睡眠薬の過剰摂取で自殺した。ボネガットは自身をヒューマニストと考えていて、ほとんどの宗教に関り合いを持たなかった。彼の文章には、崇拝するマーク・トゥエインのブラックユーモアの血が流れている。彼はうつ病に苦しめられ、1984年に自殺未遂をおこした。息子のマークは、双極性障害と若干の統合失調症と診断された。

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302) スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)
カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤 典夫

猫のゆりかご (ハヤカワ文庫 SF 353) タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF) 国のない男 Slaughterhouse-Five ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫 SF 464)
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8.ハンター・S・トンプソン

ゴンゾー・ジャーナリズムの旗手トンプソンは「ラスベガスをやっつけろ(テリー・ギリアム監督、ジョニーデップ主演で映画にもなった)や、銃と麻薬、浴びるように酒を飲むワイルドで不遜なライフスタイルで知られる。彼は自滅的なほど無軌道で、ヘルス・エンジェルスに潜入してその内情を取材した。彼らにその意図がばれた時、彼はボコボコにされた。トンプソンは晩年、コロラド州の片田舎に住んでいた。彼は2005年に銃で自殺した。その遺書にはこう書いてあった「もうゲームも、爆弾も、散歩も、娯楽も、水泳もいらない。67歳。それは50を過ぎて17年ってことだ。17こそ俺が最も欲する年齢なんだ。退屈だ。俺はいつも意地汚い。なにも楽しくない。誰にたいしてもさ。アンタらどんどんセコくなっていくぜ。老人を演じて暮らしな。リラックスしてさ。そうすりゃどこも痛くない」

ラスベガス・71 ラスベガス・71
ハンター・S. トンプソン ラルフ ステッドマン

ヘルズエンジェルズ GONZO -ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて [DVD] Fear and Loathing in Las Vegas: A Savage Journey to the Heart of the American Dream (Vintage) ラスベガスをやっつけろ [DVD] ヘルズ・エンジェルズ―地獄の天使たち 異様で恐ろしいサガ
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7.シルヴィア・プラス

プラスはうつ病にひどく苦しめられた。大学の頃、彼女は電気ショック療法とインスリン療法を受けていて、自殺未遂を起こした。半自伝的小説「ベル・ジャー」で実体験の多くを盛り込んでいる。彼女は再び車で自殺未遂を起こした。彼女の夫が別の女との浮気を見つけて彼のもとを去った。そしてオーブンのガスを吸い込んでとうとう自殺してしまった。わずか30歳で、二人の小さな子どもの元からも去っていった。

ベル・ジャー (Modern&Classic) ベル・ジャー (Modern&Classic)
シルヴィア・プラス 青柳 祐美子

The Bell Jar リア王 (新潮文庫) すばらしい新世界 (講談社文庫 は 20-1) Girl, Interrupted(映画『17歳のカルテ』原作) 英国ロイヤル・バレエ団 シルヴィア(全3幕 アシュトン版) [DVD]
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6.ジョン・ケネディ・トゥール

トゥールの全著作は彼の死後に刊行されたという点で独特だ。チューレイン大学教授だった彼は、「A Confederacy of Dunces」をサイモン&シュスター出版社に売り込んだ。出版の約束はしたけれども、その原稿は強く関心を引きつけるほどのものではなく、出版は拒否されて、彼はブクブクに太りだし、そのウイットとユーモアは消滅していった。彼は母親と口論した後、自暴自棄になり車で飛び出した。ミシシッピ州のビロクシーで、排気管に差し込んだ水まき用ホースを車の窓から引き入れて死んだ。数年後、彼の母は小説家のウォーカー・パーシーに息子の小説を読むように説得した。パーシーはその原稿の巨大な可能性に圧倒されて、自分の影響力を駆使して出版にこぎ着けた。喜劇的なその本は、1981年度のピューリッツァー賞を受賞した。

A Confederacy of Dunces (Penguin Modern Classics) A Confederacy of Dunces (Penguin Modern Classics)
John Kennedy Toole

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5.エドガー・アラン・ポー

ポーは20代前半の妻(彼のいとこでもあった)を亡くしたり、多くの個人的な悲劇を生きた不遇の天才だった。彼は薬やアルコールに頼るようになり、極度の憂鬱や死への強迫観念は作品の中ではっきりと確認できる。とくに彼が名声を博した、失恋の挽歌である「大鴉」には。彼は1948年に自殺しようとして、ボルティモアの酒場で見つかった時はせん妄状態だった。彼は1849年10月7日に亡くなった。その死亡原因は、狂犬病などのありそうもない憶測を呼び、今だ謎に包まれている。

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫) 黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)
ポー 小川 高義

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫) 鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫) 木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫) 悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫) 不在の騎士 (河出文庫)
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4.バージニア・ウルフ

ウルフの最も有名な作品は「ダロウェイ夫人」で、精神病と同性愛と実存のテーマを探求して賞賛を浴びた小説だった。彼女はかなりの神経衰弱に悩まされ、父親の死後の1904年に短期間、施設に収容された。恐らく彼女の精神的問題の原因である異父兄弟から、性的虐待を受けていたことを後に告白した。第二次世界大戦で彼女の苦痛は悪化して、彼女の家はドイツ軍によるロンドン大空襲で破壊された。1941年3月28日、コートのポケットに石を詰めてウーズ川にて入水した。遺体は1ヶ月ほど見つからなかった。そして夫に宛てた悲しすぎる遺書を残した。

ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫) ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫)
バージニア ウルフ Virginia Woolf

ダロウェイ夫人 (集英社文庫) 灯台へ (岩波文庫) To the Lighthouse (Wordsworth Classics) オーランドー (ちくま文庫) めぐりあう時間たち DTSスペシャルエディション (初回限定2枚組) [DVD]
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3.レイモンド・チャンドラー

チャンドラーは、「大いなる眠り」の頑固でへらず口を叩く私立探偵フィリップ・マーロウの生みの親である。彼は50歳になるまで処女作を出版しなかった。酒に強く、いくぶん短気な男で、うつ病の傾向があった。18歳年上の妻が1954年に亡くなったとき、彼はふさぎ込むようになり1955年に自殺未遂を起こした。彼の砂漠のように乾いたミニマルな散文は、1959年の死後も長く賞賛され続けている。

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11) ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
レイモンド・チャンドラー 村上 春樹

長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー) さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション) ティファニーで朝食を (新潮文庫)
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2.デヴィッド・フォスター・ウォレス

ウォーレスは、約50万語の暴力的なまでに細部と脚注に凝った超弩級の最高傑作である小説「Infinite Jest(個人的にもお気に入り)が一番有名だ。大学教授であった彼は、謙虚で控えめな態度と驚くべき共感能力で生徒や読者から愛された。彼の作品はあまりとっつきやすくはないが、彼の鋭い知覚と知力は、読者の孤独を癒すような並外れた力を持っていた。ウォーレスは生涯で重いうつ病に苦しみ、まともに活動できたのは薬を使用している間だけだった。抗鬱剤のひどい副作用を経験した後、薬を一切やめようとした。不運にもうつ病はぶり返して、電気ショック療法を施しても痛みがひどくて堪えられなかった。2008年12月12日、彼は首を吊って亡くなった。長年取り組んでいた小説の断片は、死後遺作として「The Pale King」のタイトルで出版された。

ヴィトゲンシュタインの箒 ヴィトゲンシュタインの箒
D・F・ウォレス David Foster Wallace

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1.アーネスト・ヘミングウェイ

老人と海」や「誰がために鐘は鳴る」の血気盛んな虚勢の裏で、ヘミングウェイは生涯を通じて精神病に苦しんだ。心理学者たちは、今から考えると彼は双極性障害を持ち、ある種の人格障害だったのではないかと主張する。また彼の度重なる暴力的衝突の影響で、脳に損傷を受け苦しんでいたのかもしれない。彼は血色素症(体内で過剰の鉄沈着を引き起こす、かなり苛烈な副作用のある珍しい遺伝性疾患)があったことは確かである。1950年代後半には健康も衰え始めて、1960年には先を見失っていた。電気療法でも彼を救えなかった。1961年にショットガンで自殺。自殺はヘミングウェイの家系で代々繰り返された。アーネストの父、妹のウルスラ、弟のレスター、孫娘マーゴもまた斃れていった。

日はまた昇る (新潮文庫) 日はまた昇る (新潮文庫)
アーネスト ヘミングウェイ Ernest Hemingway

老人と海 (新潮文庫) われらの時代・男だけの世界 (新潮文庫―ヘミングウェイ全短編) The Sun Also Rises 武器よさらば (新潮文庫) 誰がために鐘は鳴る〈上〉 (新潮文庫)
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私はたいした才能もなく無能な人間ですが、実はそれって幸せなことなのかもしれません。

以上です、ではまた。

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記事元
Top 10 Suicidal Writers
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[ 2012/04/16]











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