押井守監督作品「スカイ・クロラ」の海外アマゾン評価レビューの和訳






スカイ・クロラ (通常版) [Blu-ray]
VAP,INC(VAP)(D) (2009-02-25)


怒涛の展開のハリウッド超大作になれた海外の方は、この詩的で深遠なアニメ作品をどう評価したのでしょうか。

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
日本が誇るアニメ界の巨匠・押井守監督が手掛けた長編SFアニメ。現代に似たもうひとつの世界。平和を実感するために“ショーとしての戦争”が行われる中、思春期のまま戦闘機のパイロットとなることを余儀なくされた通称“キルドレ”たちの運命を描く。



以下ネタバレ要素が含まれますので、ご注意下さい。 現時点で、米アマゾンは総59レビューで星平均3.4で、英アマゾンは総12レビューで星平均3.8です。
基本あらすじや謎解き要素は極力省いてあります(検索すればいっぱい出てきます)


8人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★★★★★「ハラハラするマンガで、もしWiiをお持ちならとても良く出来たゲーム版もあるよ」(英国 コーンウォール州)
スカイ・クロラは「攻殻機動隊」の偉大な押井守監督の作品だ。ストーリーはとても優れているし、時にとても切なくて胸にガツンとくる。若い登場人物たちは無理やり戦争をさせられているが、死ぬにはあまりにも若すぎるし、戦う意味も全くわからない。空中戦は驚きで、この力強いストーリーと素晴らしいアニメーションを見れば、沢山の賞をもらったのも頷ける。Wiiを持っているのなら、「スカイ・クロラ イノセン・テイセス」もお試しあれ。


スカイ・クロラ イノセン・テイセス


これは僕が見た最高のマンガ映画で、押井守の興味深いインタビューも収録(ブルーレイ)されている。


87人中、74人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★★★★★「雲の切れ間をゆっくりと進む、夢のような散歩」(どこかそこら辺)
私はトロント映画国際祭2008にスカイ・クロラを見に行って、観客がピクリともこの映画に反応を示さずに席を立ち上がっても驚かなかった。この映画を監督した押井守は、味覚を鍛えていなければ味わえない映画スタイルをもつ。この地元の映画館で味わえる人は僅かだ。


詩学 (岩波文庫)


伝統的なアリストテレス的物語構造に毒されたものはみな、スカイ・クロラの中盤やほとんどの押井映画で、興味や見る目的も見失うだろう。オープニングの空を這う戦闘機パイロットたちのように、初っ端に迫力のあるアクションシーンで見るものをつかもうとするのは、彼の作品のお約束だ。その後、光の速度のアクションから人生の速度の物語にシフトして、キャラと彼らの会話は全て実生活と同じペースで、とりとめもなく進む。

それはつまり、ハリウッドの気の利いたジョークをまくし立てる派手なキャラや、結末まで一直線のストーリーに慣れたものには、多分押井映画は緩慢に思えるだろうし、恐らく退屈でさえあろう。

そう感じてしまう人は、ほぼ押井映画には向いていない。

押井映画でまず最初の観客は押井自身だろう。彼のほとんどのキャラクターたちは、彼の社会に対する哲学的矛盾や疑問を解くために用意された彼自身の分身に思える。二番目の観客は、彼と同じように自分で矛盾や疑問を解こうとしている人たちだ。セリフはとても知的で控えめであるから、押井が自分の映画で独り言をつぶやいるとしても私は気にならない。全編において登場人物の語る言葉に他意はなく、話す内容そのものを意味している。彼らの生活では言葉を飾る必要はない。以上のことが、正に押井の映画文法がとても斬新に感じられる理由だ。

活力あふれる映像にもかかわらず、彼の映画は、映画よりも文学と血縁を結ぼうとする。彼の映画においては、目で見ることよりも耳を傾けることのほうが重要だ。例えば、スカイ・クロラのキャラたちは地上では日本語を話すが、戦闘中は英語に切り替えて話す。このことは、アメリカの占領によって日本の若者の習慣が変わってしまい激化していることの、押井なりの注釈であるように思える。

それでもこの映画の運命を心配する自分がいる。押井はこの映画の公開前に、この映画を、特に若者たちから評価されたいと述べているし、とても真摯な「若者へ向けたメッセージ」を送った。それでもこの生真面目な映画が、彼の見てほしい若者たちを包む自己愛の殻を打ち破って届くためには、もうしばらく奮闘が必要かもしれない。押井作品は隙がなく、彼を取り巻く観客たちはたいがい玄人筋である。両者は水と油だ。

仮に若者たちに見られなくともこの映画は、既に彼の作品に慣れた知的な観客に受けはするだろう。この映画がソニー(*日本はVAP、アメリカはソニー・ピクチャーズから発売のようです)からDVD発売されるのは吉報である。押井の技能と知性は、アメリカの映画好きには貴重なのだから。


4人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★★★★★「難解でタフなアニメ
近頃は、アニメの内容が難しくなればなるほど、一般的なアニメファンのウケが悪くなってきているように感じる。このアニメは何通りでも解釈できる。俺はこのアニメに対する解釈を三つほど目にした。これは正に人生のメタファーであり、アニメ産業が毎日毎日同じことを繰り返していることの暗喩でもある。俺は再度この映画を見たときには、基本事項を確認しにここのレビューを参考にした。

これは内容やメッセージの奥が深いから、疑いなく俺のお気に入りの一本だ。それにこのメッセージはダイレクトに人生に関係するものだといえる。ちっとも好きになれない映画が結構あったりするけど、それは単にその映画のメッセージがわからなくて、自分の人生にも関係があることに気がつかないからであったりする。俺にとっては「秒速5センチメートル」や「シグルイ」がそういった映画だ。「秒速」は退屈で、やけに感傷的だった。シグルイはとても展開が遅いし見ていて痛い。


秒速5センチメートル [Blu-ray] シグルイ HALF-BOX 虎 【期間限定生産】 [DVD]


俺にとってこの映画が借りて見たり買う価値があると思うのは、俺が見た中で最高に綺麗な映画だからさ。背景なんて飛び上がっちゃうほど。俺はこの映画を高画質で見て楽しむためだけにブルーレイで買うつもりだ。もしこの映画のストーリーが気に入らなくとも、この映像で十分元が取れる。そこは「秒速」と同じ。もしシグルイや、バイオハザードとかのグロ系を見るのが苦手な人向けだ。


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13人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★★★★「綾香のテーマソングがない...」(USA)
他のレビューでこの映画の内容全てが語られているけど、私が唯一残念なのは、綾香のテーマソングがUS版でカットされていること。


Sing to the Sky −CDのみ−


テーマ曲のタイトルは「今夜も星に抱かれて」で、エンドロールに流れるはずが他の音楽に変更されたちゃったのよ。この歌は素敵でこの曲も映画の一部だと思うから、私にとっては重大なことなの :)

コメ
US版で曲が代えられてしまうのは本当に嫌だ。このことを聞いて、ボクは日本版を買ってよかった。



厳しい意見もかなりあります。


20人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★「これがマンガ映画の良いお手本だと?」(英国)
ああ、ワシは2時間座って我慢して、終わったときぼんやりとテレビ画面を眺めてこう思った。「一体全体何についての話なんだ?」。未熟なワシには「何だこれは」以外の何ものでもなかったな。

ワシは60年以上も映画館に通い続けているし、いい映画もダメな映画もどうでもいい映画も見てきた。まあ沢山お金を浪費した分は楽しんできたとは思う。ワシはコレクションで壁ができるくらいの映画ファン(映画の壁なんて家族から言われとる)で、どのジャンルにも偏見はない。例えば50年代のSF映画など(当時はみんなすごく怖がったもんだよ。私も心底ね)。最近の絶叫ホラー映画とかも見て笑ったりな。

これはワシの初めてのマンガのジャンルで、もしほかのマンガ映画がこんな感じなら、今後は恭しく辞退させて頂きたい。これを風刺漫画(カトゥーン)なんていっとる感想もあった。「風刺漫画とは、ユーモアや風刺的要素を持つ絵や、その絵が連続するもの」とワシの辞書には書いてあるが、まあ、何か大切な所を見逃しているに違いないね。

この作品の中にユーモアは一つも見つけられんかった(ワシには!)。漫画から抜けだしてきたような話で、心底「ようわからん!」。人から説明してもらっても、まだ理解できん。たぶん大事な瞬間にまばたきでもしてたんじゃろう。

この手のジャンルが好きな人は楽しめるだろうけど、そうじゃなくても見たい人は、数年あとで値崩れするのを待ったほうがいいな。12ポンドでも高い。

(だれかこの映画のブルーレイ版を欲しい人はおるかね。ワシのはもういらんからさ!)

コメ1
この作品からアニメ映画を見るのはあまりふさわしくないでしょうね。もしこの映画でこのジャンルを見なくなってしまったら、とても悲しいです。アニメは気軽なコメディからダークで重厚なテーマを持つものまで幅広く、西洋の風刺漫画とは違います。例えば「ワンダフルデイズ」や「時をかける少女」を見るといいかと思います。その二つが最高とまでは言えないですが、スカイ・クロラよりはいいと思います。あなたがそれらを見てどんな印象を抱くのか、私は大変興味があります。


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個人的に私はスカイ・クロラをいたく気に入りましたが、これがアニメの見本とは考えてほしくないのです。最後に付け加えたいのですが、微妙なニュアンスの消えた英語吹き替えで見るより、オリジナルの日本語で見たほうがずっといいと思います。私のようにこのジャンルを楽しめることを願って。同じ映画ファンとして^_^

本人
「時をかける少女」を教えてくれてありがとう。親切な感想も。「ナウシカ」^_^は発売されたとき買ったんだ。話もこのジャンルで期待したものだったよ。ワシはいつも外国映画はオリジナル音声で見とるし(耳が昔と違って遠くなっとる)、字幕にはなれとるし、いつも表示されとるしな。「カリオストロの城」も試そうかと思っとるよ。


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コメ1の返答
初めての嫌な体験で嫌いにならなくてよかった。
「ワンダフルデイズ」はオリジナル音声で見なければ作品の良さが失われる作品の一つです。あなたも外国語でいつも映画を見てるのですね :)。「時をかける少女」を楽しんでくれることを願っております。私が初めて見たアニメで、想像した以上の感動がありました。私は50年代のSF映画は見たことは無いですが、もし何かオススメがあれば見てみたいと思います。

コメ2 (アイルランド ダブリン)
はっきりさせておくけど、アニメはジャンルじゃない。それらジャンルを含める一つのメディア(入れ物)だ。

コメ3
千と千尋の神隠し」と「北斗の拳」は初めて見るアニメとしては悪くない。


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コメ4 (深い所)
もし少し特別なものが見たい気分であれば、古くて画像は粗いけれども、胸が張り裂けそうになり、生々しい「はだしのゲン」なんていかがしょう。警告しておきますが、恐ろしく残酷ですが、原作者の実話を元にした、広島の原爆投下後を必死に生きる姿を描いています。ずっと心から消えない映画の一つです。


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2人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★★「イケてる映像でもダルダルな展開」(英国)

僕はこれがほしいと思った。パッケージのスクリーンショットが素晴らしいし、宣伝文句で面白そうだと思った(空中戦は常にすごい)

悲しいな、現実はそうじゃなかった。のろくて起伏もなくて退屈だ。結末にもクライマックスはない。コンセプトはいいけど、何も心に引っかからない。このDVDはチャリティーショップに行くついでに寄付しようと思う。他のアニメにお金を使ったほうがいいよ。

4人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★★「名作を期待していただけにガッカリ」(英国)
映像は声も出ないくらいだけど、話はゆっくりだし、なんかすごいことが起こってるとおもいきや、何もなくてがっかりするだろうね。

徐々に盛り上がっていく映画ならボクは気にならないし、実際そういう映画ってとても豊かなストーリー展開があるものだけど、残念ながらこれには何もないよ。


15人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★★★「標準以下のアニメ」(英国 ノートフォーク州)
この映画を見て悟ることは、ただ退屈で、静かでプロットがないことだけ。賞とかもらってるんだって? どこのどいつがくれたんだろうか? 真っ正直にいうけど、見てただ滅入って憂鬱になるだけ。


24人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★「退屈で、覇気もなく、どうしようもないほどひどい」(テネシー州)
アニメ界を先導する光である押井守は、宮崎駿やデビッド・リンチ、イングマール・ベルイマンやヒッチコックなど多才な監督たちと共通した一面を持つ。彼の全作品は、他の監督たち同様、特定のテーマに対する執着心があるし、他の映画で培った映画技法を新作でも頻繁に利用する。だが何よりも彼もまた、彼の映画は彼以外では作れないものなのだ。

彼の映画に対する執念は、他の巨匠たちほど強くはないが(例えば宮崎は過去無数のセル画を描き直してきたし、スタッフが描き直したものもチェックし続ける。キャラが”適切に”動くまで。押井の場合は仕事をスタッフに割り当てるかたちだ)、仕事に対する情熱はまだまだ健在である。そのスタイルは偏執的であると同時に極度に焦点を絞ったものであり、作品は緊張と緩和の間を、常に綱渡り状態で往き来しているが、あまりに重苦しい内容だと、たちまち退屈になってしまう。大概は上手く着地させているが、たまに、滑ってしまう。これは悪いことではないけれど、でもこれは、彼の最低の映画だ。

キャラクターデザインは手抜きといっていい。主人公と脇役の絵柄が同人アニメ風だ。女主人公は不気味で「イノセンス」の草薙版ダッチワイフのようだ。3Dが目ざわりだったが、映像は常に流れるようだ。ジェット機がスクリーンに現れる時は常に身をすくまざるを得なかった。

私が名前を明記していないことに気づいているだろう。何日でも何ヶ月でも何年前にでも見た、どうでもいいフィクションのキャラの名前でさえ覚えてしまう、私のこの秀でた能力をもってしてさえこの有様。これは一大事だ。キャラに個性がないし、外見でしか区別できないのだ。主人公は黒髪で、女主人公は「イノセンス」の草薙素子に似ているし、中年女性は...基地でただ一人の大人で、白髪頭の仲間は不愉快なマヌケだ。

話はどうもSF小説シリーズを元にしているらしい。舞台は未来だと思うが、どうやら世界平和が成し遂げられたので、正気を保つために国際紛争が必要な無知な大衆を慰撫するために、戦争請負企業同士が互いに戦っているようだ。

もし押井が現代の日本社会についての寓話や批評を試みているのなら、少なくとも芸術作品として昇華できうるものなのか吟味しなくてはいけない。アニメ映画といっても、結局はアートなのだから。

押井には、彼が監督すれば良い悪い関係なく、何でも無条件で賞賛する支持者がいることは知っている。私も押井が踏み誤っても、喜んで受け入れるその様なファンの一人だ。それにこの映画を純粋に楽しんでリスペクトする沢山の人たちがいることも知っている。全ての美的判断は、結局は、その本質上ひどく主観的なものである。私が言えるのはある程度までで、私の意見は差し引いて判断してほしい。他の意見に影響を受けずにこれを見て、自分で判断してほしい。


12人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★「むしろ癌が這い回ってる感じ(Cancer Crawlers)」(カリフォルニア州 ベーカーズフィールド)
これはひどく精細を欠いたアニメで、引き伸ばされた漫画といってもいい。絵柄もストーリーもテンポも鈍くて薄っぺらい。5~8分くらい面白いところほあるが、他は悲しいほど空っぽだ。私が見た時間は取り戻せない。それにやたらと喫煙が強調されている。なぜ飛行機や乗物や軍事施設などの表現力は卓越しているのに、全キャラクターはくだらなく見えるのか? 手抜きをしたような絵柄だ。娯楽ならなんだっていい人たちに向けたアニメ映画と言っても差し支えないと思う。

コメ
お前、わかんなかったんだろ。



タバコの件は、新聞を丹念に折りたたむのと一緒で伏線の一つなので。未成年の喫煙描写が不快なのでしょうが(海外はPG-13指定)



4人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

・★★★★★「とても美しい傑作アニメ」(イリノイ州 ロックフォード)
僕はアマゾンレビューでスカイ・クロラを腐している人たちが信じられない。あり得ないほどの出来だし、押井の最高傑作だと個人的には思う。混み入った細部までは触れないけど、他の肯定的なレビューなどがその点に触れているよ。この映画はとてもペースがゆっくりだけど、全く退屈なんかしなかったし、話の展開に問題もなかったよ。期待してたものとは全く違った人もいるだろうけど。僕はこれが大好きだし、考えさせてくれて疑問を提起するアニメやSFを楽しめる人にお勧めだよ。星5つ。


36人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

・★★★★★「 いつも通る道でも 」(英国)
再び、押井守監督は鮮烈で視覚的インパクトのあるドラマに、現代的で深遠であるが静謐な寓話を盛り込んだ。「スカイ・クロラ」はキルドレ(決して年を取らず、終わりのない戦争を戦うパイロットとして生きるティーンエージャーたち)と呼ばれる集団の物語だ。(あらすじ略)

アニメのクオリティーは圧巻で、従来のスタイルとCGが違和感なく融合しているし、どこか夢を見ているかのような輝きを放つ。登場人物は単純化されてほとんど人形のようにデザインされ、実に彼らの特徴であるその異様な落ち着きと曖昧さを感じさせる。川井憲次が再び出色のサントラを制作し、優しいテーマ曲が全編を包み込み、ハープやシンセサイザーのあらゆるバリエーションで、全編を貫く悲しみとやるせないムードに起伏を与えている。


オリジナル・サウンドトラック 「SOUND of The Sky Crawlers」


空中戦はたまたま刺激的役割を担ってはいるが、飛行シーンはアクションのために存在するのではなく、心の距離感を表現すためのものであり、キルドレの巧みに組織化された戦闘能力をも際立たせている。晴れ渡る開放的な空の飛行は美そのものであるが、キルドレたちは無関心で(彼らにとっては全てのことが)、そこで得た経験は戦争の道具として日々の生活に還元される。

私は「スカイ・クロラ」のメッセージは二つあると踏んでいる。映画では、キルドレの成長する可能性が暗示されているが、彼らのほとんどはそうしない。ここでの成年期とは、第一に心の状態のことを指す。若者たちは何の疑問も抱かず任務を遂行する。互いに干渉せず、スケジュールで決められたレクリエーション的な性行為で愛を知る。彼らは毎日の出来事をあまり覚えていないし、世の中の全てに対して心から情熱を抱けない。彼らの悲劇の中心は、押井の見解によれば、反抗や暴力と教育の欠如などではなく、冒険したり改善したり詳しく探求する必要もない、快適で空っぽな生活にある。

日々の感情は、哀れにも時間の流れから遊離して、タバコや酒の人工的嗜好品で隠されてしまう。背後に漂う哲学的な緊張感は、水素とユーヒチの行動で美しく表現され、映画が進むにつれ、任務中に別の基地で出会う女性兵士ミドリによって問題は露呈する。

第二のメッセージは、第一のものを拡大させたもので、この戦争の背後にある真実を説明するものだ。ここでそれを語るのはかなりネタバレになると思うが、他のレビューやパッケージでさえ多少は触れられているので。つまりこの映画の世界は、押井が考えるいつの日か現実化する未来を表現しているのだ。もしかして、すでに今日では寓話的な意味をなさなくなっているのでは。虚飾の利便性と完璧な青空を背景に、繰り返すことを運命づけられた世界を構築したこの映画の設定自体が、魅力的であると同時に身も凍るようだ。


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素晴らしく稀有な映画で、押井の傑作 ー「攻殻機動隊」、「イノセンス」、「アヴァロン」ーの小ネタも散りばめられている。例えばキャラの名前やオルゴールやもちろん犬など。忍耐力と冷静さが、このスローで繊細な作品を楽しむためには必要だ。全編ドッグファイトショーや小洒落た超大作に首ったけなら、間違いなく他を当たったほうがいい。
コメ
どこかにバセットハウンドが出てるの?

本人
もちろん!

3人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
・★★★★★「圧倒的
この映画は芸術としても物語としても説明不可能な、体験すべき雄渾な映画だ。あなたは打ちのめされるだろう。特にブルーレイの音響ついて言っておかなくてはならない。スカイウォーカー・サウンドは、HD-DTSにおいて比類なきレベルに達している。

催眠効果があり、美しく悲劇的であり、永遠に人を惹きつけてやまない傑作アニメである。

決して万人受けする映画ではありませんが、ある特定の人にとっては、あまりにもシンクロしすぎて、心酔し取り憑かれてしまうかもしれません。そんな映画です。

以上です、ではまた。


スカイ・クロラ (中公文庫)スカイ・クロラ (中公文庫)
森 博嗣

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