北野武監督作「ソナチネ」の英米アマゾン評価レビューの和訳






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たった1週間で公開を打ち切られ、その後日本より先に海外に見出された怪作。彼らキタニストの感想を覗いてみましょう。

※ネタバレが含まれますので、未見の方はご注意下さい。 まず米アマゾンから。現時点で総21レビューで、星平均3.8です。HANA-BIや座頭市は70以上レビューがあるので、カルト的な作品なのかもしれません。

・★★★★★「傑作
これは私が見た最初の北野映画であり、そしてちょうど数時間前、彼の別の傑作HANA-BIを見た。そして今この国で、彼の初期作品の公開を願ってやまない。なぜならこの二作品の監督であるなら、彼は真の天才であるからだ。現代のあらゆるアメリカ人監督よりも間違いなくよい。タケシの演出と演技は文字通り完璧で、ヘミングウェイの文体のように極力抒情性を抑えている。彼は同時代最高のアジア人監督だ。



・★★★★★「驚くべき映画!」(ダベンポート)
否定的なレビューを読んで驚いたが、多少は理解できる。この映画は万人のためのものではない。若い時はこの映画がとても退屈に感じた。しかし今、これは最高の映画の一つだと思う。映画はスローペースで進むが、まさにそこがポイントなのだ。見る者は、詰め込まれたアクションや魅力ある演出でなく、”彼らそのもの”を知るようになる。

私は特に、彼がボスたちを連れ出す最後の戦いの場面が好きだ。彼がいかに"何も話さず全てを伝える"のかに注目してほしい。これは、"必見"の映画なのだ...



・★★★★★「才気あふれて、愉快で、胸に突き刺さる:ジョン・ウー映画とは全く違う
フィルムノワールを見事に洗練された手法で解体した作品。ヤクザ映画に慣れている人も、いつものヤクザものとは違った過激で新しい試みを楽しめるだろう。すべてのアクションが、ほとんど不釣り合いな場所で展開される。ヤクザの生活が、果てしない退屈の延長のなかで描かれて(とても写実的だがひどく陽気だ)、そんな生活も全くの制御不能な暴力によって中断される。登場人物は頻繁に直接カメラを凝視するが、全く視線のやり場を気しない(小津安二郎)。ジョン・ウーファンは失望するだろう。マッチョたちの見掛け倒しの銃撃戦はないから。

ところでこのタランティーノのシビれる言葉が載っているビデオパッケージはレターボックス化はされていないが、信じられないほど綺麗で鮮やかに印刷されている。欠点は英語字幕がひどいこと(※VHS)。登場人物が何も喋ってないときに大量の字幕を垂れ流すのだ。



・★★★★「沈思黙考のひと時」(シカゴ)
この映画が好きだ。ゆっくりジワジワと効いてくる。もっと会話が上手く出来た気はするが(単に字幕のせいかもしれない)、黒澤の人を引きこむスタイルと昔ながらのギャング映画の見事な結合だと思う。レビューの一つに、ただブラついて待つ男たちの群れだけとあるが、部分的にはそうだ。しかし私は、この沈黙のなかにこそ詩情を感じた。”青いパパイヤの香り”のように。私たちはひどくハリウッド映画に洗脳されているから、何も喋らず何も起こらないときは退屈してしまう。これはアクション映画ではない、沈思黙考するひと時なのだ。

このように見始れば...、沢山の死が満載の楽しい血祭りから一歩踏み出せるかも知れない。この映画は心に残るのか? 淡々とした映画だが、あなたを捉えて離さない。記憶に思い浮かぶ場面は...、子分たちがロシアンルーレットをするとき、岸に打ち付ける波が砕けるのを見ているところ...、彼らと共に待ちながら、空に浮かぶ満月。その場面はこの一連の中にある。映画ラストの数分間は忘れないだろう。ここが好きなんだ。



批判も少しあります。

・★「見た映画の中で最悪
繊細で簡潔な台詞、そして人を引きこむ場面などでソナチネを高く評価するレビューが見受けられる。それを分かりやすく言うと、登場人物は多くを語らず、ぶらついて棒のように歩き回ったり、ついには近距離で互いに銃で軽く撃ちあったりする。彼らはトランス状態のように見え、生死にも関心がないかのようだ。我々は登場人物たちが感じるように - 完全に退屈する。(また、字幕を読むのに難儀した。)

私は理解できなかった。この映画を絶賛する人たちとは違う惑星に住んでいるのだろう。批評家たちは、何も無いところに魅力を見つける術を教えてくれる特殊な映画学校に通わなければならない。あなたが映って欲しいと願うものはほとんど、このフィルム上にはない。この映画は限りなくゼロだ。



・★「レビュアーよ、批判しろ
週3、4回は外国映画を見ろ。ソナチネのカバーレビューを読んでから意見を述べろ。今まで見た外国映画で最悪の演技、最悪の監督、最悪の編集。多くの賞賛するレビュー全てに対して罰金を課して、これらのレビューはボイコットすべきだ。



英アマゾンは総12レビューで、星平均4.8です。

・★★★★★「ヴィンテージ キタノ
北野武の世界に一度も入ったことがない人へ、ソナチネで間違いない。感傷は抑えられ、始めと終わりにバイオレンス全開だ。主人公がこれほど落ちぶれた暴力映画は思い浮かばない。北野は特殊なヤクザを演じているが、その演技は一種のアートフォームのように思える。ソナチネは古典的な日本のカルト作品として、陰でハリウッド映画の対称物として残るだろうし、これに似た作品は並の暴力映画として駆逐されるだろう。この映画はベタでお決まりのパターンに知性を織り込んだ作品だ。買いたまえ!



・★★★★★「ワンダフル」(ロンドン)
私は専門家じゃないので、字幕と転送方式などの技術的側面よりも、もっと映画自体について語りたい。とにかくこれは、おそらく北野史上最高に優れた映画だろう。

これは日本のヤクザ映画だ。いわゆる暴力とアクションを思い浮かべているだろう。確かにこれらの要素を含んでいるが、それをずっと超えたものだ。おそらくこの映画の進行具合が最も驚くべき要素であり、それはゆっくり進む部分とやや不可解なラブストーリーを特徴とする。全てが全て、それはそれは魅惑的で美しい。たびたび穏やかなひと時を寸断する暴力が、この映画によりインパクトを与えている。

見てすぐ分かるような映画ではない。解答を得たような爽快感は、見るものに全く残らない。なんとなく終わり方が"狙撃者"を思い起こさせる。ギャング映画で詩的感覚のあるものは稀だが、この映画は時折それが垣間見える。

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・★★★★★「才気煥発」(ロンドン)
最初は日本のガールフレンドからタケシを教えてもらい、彼を知ってずいぶんになる。

この映画は、アメリカ製の油っこくてスカスカで、下らないドンパチもので育った現代ヨーロッパの観客には”スロー(ゆっくりで退屈)”に思える。これは画面に映る、入念に描かれた、どこか気怠いようなアジアの登場人物に関係がある。その世界を拡大して映し出しながら、暴力は持続的に噴き出し、そしていきなり終局する。潜伏中ずっと暇な登場人物たちは、彼らと我々の退屈を紛らわそうとする。特におもちゃ相撲のところは陽気だ。暴力シーンが全てではなく、待ち続けることも必要だ。

この映画は、いわゆるゴッドファーザーものの一般ギャング映画から、スラップスティックなラブストーリーに変化する。各要素に接点はないが、上手く織り込まれている。目に見えやすい暴力性の底一面に、シェークスピアばりのザブプロットが張り巡らされている。

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アジアの映画は、標準的アメリカ人の大げさに親しみを込めるような過度な演出を避ける。これが、この映画はダイハードよりマルホランド・ドライブを好む人にうける理由だ。アジアでは絶望を乗り越えて、最後に愛が勝つというような感傷はない。ほとんどがただの歯車として戦いを命じられ、その理由は決して分からない。全体を通して圧倒的な虚無感が漂う。ビートたけしを定義するのは難しいが、西洋人では多分ハンフリー・ボガートに一番近い。タフな中年でシニカル、女性的だが暴力的な、ある種の存在感がある。それと同時に、タケシはよりマシンっぽくて漫画的でもある。その証拠は、彼の愛人を犯したり、自己顕示欲が強かったり、溝でのエンディングで見受けられる。主人公たちは本質的に欠陥があり、そしてその緊迫感のなかで身のすくむような、男臭いロシアンルーレットを行う。

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物語は私を魅了し、広く開けた海岸の映像は、大画面テレビでその魅力を発揮する。このフィルムは大パノラマ画面用に作られた。字幕が適切な場所よりややずれて流れるところもあるが、緊迫感のある、男くさいが静かな場面の映像は明瞭だ。

自尊心や面子を保つこと、暴力行為でライバルを潰すことは全てにおいて、社会的肉体的な犠牲を伴う。ハワイアンシャツと刺青でヤクザだとばれる、短くはない日々の生活。ここがこの映画唯一の道義的な部分(ヤクザ稼業)だ。

十分に入場料を払う価値がある。



美しい海岸の映像が思い浮かびます。私は公開当時なんとか池袋の文芸座のスクリーンで見れました。地デジ化で購入した大画面TVでぜひご覧になってはいかがでしょうか。

以上です、ではまた。


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